副題:それぞれの春
考察:“火事場の馬鹿力”は実力に含まれるのか?
大学の卒業式で“姉ちゃん” は泣いた。
嬉し涙ではなく悔し涙だった。
就職するはずだった編集部の月刊誌Dance Styleが不況の煽りを受け、4月号で休刊となることに。
姉ちゃんは突然“内定取消されちゃった不幸な新卒”として大不況の荒波の中に放り出された。
もらった幾ばくかの内定取消金で当分の間、生活には困らないのだが…。
その時の姉ちゃんがこう言ったかどうかは知らない。
“同情するなら、金をくれ~っ! I need money, not sympathy! ” (『そのひとこと、ネイティブならこう言います』より)
大学3年の春休み中に就職が決まった時点でお蔵入りとなった”リクルート・スーツ”を引っ張り出し、ゼロからの就職活動が始まった。
(ここのBGMは中島みゆきの ファイト!でお願いしたい。♪ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう ファイト!冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ ファイト!♪後略)
君が悪いのではない。時代が悪いのだ。
1年間即戦力として取材に特集記事にと忙しく働いてきた“姉ちゃん”。
申し訳なく思ってくれた編集長や人事が手を尽くして紹介をしてくれた親会社/関係会社での空きポストを狙う。
担当したオヤジダンサーズやコロッケさんとのインタビュー記事他を実績として持ち歩く。
しかし、出版業界全体が人員削減・縮小しているという現実が重くのしかかる。
“姉ちゃん”よりも遥かに経験を積んだ優秀な編集者が大勢求職に来る。
この業界の将来はあまり明るくないのかもしれない。
その時、“姉ちゃん”の気持ちは:だって涙が出ちゃう、女の子だもん I can't help crying. I'm just a girl.
フリーライターの仕事の話も来たが、本人はあくまでも正社員でないと、と譲らない。
街には失業者があふれている。1人の募集に対して数百人の応募がある。
ジョー、立つんだジョー! Joe! Stand up, Joe!
卒業式が終わり、同級生達は社会人としてそれぞれの道へ旅立って行く。
入社式・歓迎会…。
大学の近所に住んでいる姉ちゃんは、面接会場へ行く途中に希望を胸に入学するぴかぴかの新入生達とすれ違う。入学式・歓迎会…。
1人だけ取り残された姉ちゃん。辛い…。
君が悪いのではない。時代が悪いのだ。
(ここでのBGMは中島みゆきの“時代”でお願いしたい。♪今はこんなに悲しくて 涙も枯れはててもう2度と笑顔にはなれそうにもないけど そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ♪ 後略)
就職活動中に姉ちゃんは誕生日を迎えた。
昨年は、2度と来ないであろう人生最大の”モテ期” だったということもあり、盛大なバースデーパーティーだったようである。(凄まじい証拠写真の数々が残されている)
今年は…?
友人のバイト先にごはんを食べにいき、12時になった直後に店内に曲が流れてきた。
現在の彼氏、しょうちゃんたちのバンドがお祝いに作ってくれたオリジナル曲をプレセントしてくれたのである。
歌詞に名前が入っている&メッセージが込められている。
しょうちゃんたちは、この日のために作曲・練習してくれていた。
流石の姉ちゃんも“歌のプレゼント”は初めてだったので号泣。(;д;)
辛い時にこそ、人の優しさが心にしみる。
『そして“姉ちゃん”は地獄を見た 続編』へ続く。続くと思う。続くかも。続いたら?続け。(この物語はノンフィクションでありますっ。)
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