2013年6月16日日曜日

海を渡った海くん

副題:飛んできた焼きそばとフライパンと母の愛

 


ぼくの名前はわたる

「海」と書いてわたると読みます。

どでかい名前を付けてくれた親に感謝しています。

この春高校を卒業して、神戸から海を渡ってカリフォルニアへやってきました。

憧れの伯父さんの弟子として、一流の料理人になるための修行が目的です。

飛行機に乗ったのも、外国の地を踏むのも生まれて初めてです。
着いたその次の日から『辛辛麺めん』でインターンをさせてもらい、ラーメン作りの奥深さを学んでいます。


 




僕の人生を決めたのは一皿の『絶品エビチリ』でした。

子供の頃、当時外国のホテルでエグゼクティブシェフをしていた伯父さんが一時帰国した際に、ちゃっちゃっちゃーと作ってくれたエビチリは、それはそれははぶっ飛ぶほどの旨さでした。伯父さんの優しさが溢れてくる味・・・。今まで食べてたエビチリはいったい何だったんだ? 
 
なんて凄いんだ。この人のようになりたい。伯父さんが出来ることは自分でも当たり前に出来るようになりたい。


 
 


伯父さんも18歳で故郷の奄美大島を離れ、国内や世界各国の有名店やホテルを巡り、料理人として経験を積んできたそうです。

僕にだって出来ないことはない。一度決めたら頑固でマイペースな自分です。

定時制高校に通いながらファミレスの調理場等で働き、渡航費用も生活費も稼ぎました。

女手一つで僕達兄弟を育ててくれている母に迷惑はかけられません。

 

Yelp広告撮影



1歳のときに、阪神大震災で住んで居たアパートが崩壊し、県の援助により別の場所へ移り住みました。


母と僕と弟の生活は楽ではありませんでした。
 
母は、幼い頃から5人兄弟の長女として兄弟の面倒を見て家を支え、家族を守るため戦い続けてきた一族の大黒柱です。伯父も、育ての母でもあるので頭が上がりません。


 


男勝りで気の短い母の、体を張った躾けの厳しさは想像を絶する厳しさです。

秋刀魚は頭も骨も内臓もすべて食べる。ご飯つぶは一粒残さず食べるなんてことは当たり前です。

人に迷惑をかけたり、だらしなかったりしていると怒鳴り散らされ、容赦なく張り倒されました。母よりも身体がでかくなってからは、いろんな物が飛んできました。フライパンごと焼きそばが唸りながら飛んできた時には命の危険を感じたほどです。

 
 

ですから僕には何も怖いものはありません。

定時制高校で不良にからまれても、厨房で先輩達の理不尽なしごきも、サンフランシスコ空港の入国検査で約4時間拘束されても(!)僕は平気です。母よりも怖いものはありませんから。

他人から見れば冷酷にも見える母の躾けは、これからの僕の将来に立ち向かうための思いやり、懐の深さ、度量の大きさの裏返しだと思っています。

伯父さんと僕は、母に足を向けて寝れません。


 
Deisyさんと
 




くたくたで起きるのが辛い朝もありますが、厨房は待ってはくれません。

今日も一日、一生懸命ラーメン作りを学びます。

一杯入魂!美味しいラーメンは人を幸せにしますよね。

店にはいろんな人種の人々が、ひっきりなしに食べに来てくれます。

身体を動かす。頭を使う。人と関わる。

よし!今日も身も心もエンジン全開でいくぞ。

待ってろエビチリ!

 

師匠と弟子
 






不良おばちゃんより:食わせろエビチリー!
 

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんばんは。
初めてコメントさせていただきました。くみです。いつも楽しくブログ拝見させていただいており、日本との違いにいつも驚いています。
今回の、「海」君のお話、感動しました。
私の住んでいる奄美大島から、世界で頑張っている方々がおられる事、目標に向かって進むその力強さに、勇気をもらいました。
南の、小さな島から、太平洋を越え、言葉も生活習慣もまったく異なる世界に飛び込む勇気と決意、尊敬します!
私も頑張るぞ~!

chietako さんのコメント...

くみさま
コメントをありがとうございました。
奄美大島にお住まいなんですね。
はい。この師匠と弟子の行動力はたいしたもんです。
奄美大島の方は彼らのように、皆さん真っ直ぐで、正直で”瞳の中に星がある”のでしょうか?奄美大島ばんざい!

匿名 さんのコメント...

待ってろョ、不良おばちゃん、、、

インドネシア、バンドンより